2020/03/16
柔道整復師・国家試験

柔道整復師になるには?国家試験を受ける条件と独立について

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柔道整復師とは、主に骨折や脱臼・肉離れなどの怪我を治療できる資格です。この資格がないと、接骨院などで治療をすることができないので、スポーツトレーナーや接骨院などで将来働きたい方には、必要不可欠の資格となります。

しかし、この資格は国家資格になるため、独学で勉強しても取得することはできません。では、どんな方法で柔道整復師の資格を取ればよいのでしょうか。

今回は、柔道整復師になるための情報を紹介します。

 

柔道整復師になるには?全体的な流れ

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柔道整復師になるためには、厚生労働省や文部科学省が認定した学校で3年~4年間、基礎科目や柔道整復実技などの専門科目を学ぶ必要があります。

これらの学校で決められた単位を取得することが、国家試験を受けられる1つの条件です。

学校で学ぶことができる科目は「基礎科目」と「専門科目」の2種類で、すべてが国家試験科目になります。

基礎科目と専門科目の詳しい内容は以下の通りです。

基礎科目

生理学
解剖学
運動学
外科学概論
病理的概論
人文社会や語学
整形外科学
公衆衛生学
衛生学
リハビリテーション医学
柔道整復理論および関係法規

専門科目

基礎柔道整復学
臨床柔道整復学
柔道整復実技

学校ではこれだけの内容を学ぶことが必須です。この科目の単位を取得したうえで「柔道と整復の認定実技試験」の試験に合格した人だけが、初めて柔道整復師を取得するための国家試験を受けることが可能になります。

四年制大学と専門学校はどっちが良い?特徴を紹介

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柔道整復師になるための勉強が学べる厚生労働省や文武科学省が認定した学校は、専門学校と四年制大学の2つがあります。

どちらに通っても、単位と柔道と整復の認定実技試験が取得できれば国家試験を受けることが可能です。

しかし、どちらにもメリットデメリットが存在するので、自分に合った学校に通うのが大切になってきます。

具体的に専門学校と四年制大学の特徴を見ていきましょう。

四年制大学の特徴

四年制大学の場合、柔道整復師になるための科目はもちろんですが、どのほかの一般教養なども学ぶことができます。

様々な情報や知識を取得したうえで柔道整復師の基礎を学べるので、専門学校とは異なる広い視野で資格を目指すことが可能です。

また「大卒」という肩書も手に入れることができるので、柔道整復師以外の仕事に就職をしたいとなっても、就職が有利になる可能性が高いでしょう。

のんびり学びたい方、将来の選択肢は柔道整復師以外に考えている方などは四年制大学がむいているのではないでしょうか。

しかし、四年制大学は額面の面でも大きな負担があります。大きな金額を用意する必要があるので、金銭面で厳しい方は通うのをためらってしまう可能性があるでしょう。

専門学校の特徴

専門学校の特徴は、なんといっても柔道整復師になるための授業だけを集中的に受けることができることです。

そのため、一度社会に出た社会人や時間のない方でも安心して単位を取ることが可能になります。

また、専門学校によっては最先端の技術を学んだり、成績のある先生に教えてもらうことができるので、技術面でも上達が早い傾向にあります。

学費も四年生大学に比べると安いことから、通うためのハードルも低い傾向です。

しかし、四年制大学のようなキャンパスライフはあまり期待できないでしょう。

生徒の年代もバラバラなので、友達と仲良く学びたい!という方にはあまり向いていないかもしれません。

社会人で柔道整復師を目指すなら夜間がおすすめ

社会人の方で柔道整復師を目指しているかたなら夜間がおすすめです。

夜間であれば、仕事終わりに学校で授業を学ぶことができるので、生活基準をキープしながら柔道整復師として知識を学ぶことができるでしょう。

また、夜間の部は入学金をはじめとする授業料などが昼間部よりも割安なところが多いというのも特徴的です。経済面的に余裕がない方でも安心して通うことができるでしょう。

夜間の部に通う人は社会人が多くいる傾向にあります。同じような環境で勉強している人が多いので、昼間よりも気軽に学べるはずです。

柔道整復師の国家資格取得は難しいの?合格率はどのくらい?

年に1度、実施される「柔道整復師国家試験」ですが、過去(1998年)においては、合格率は85.6%と、比較的合格率は高いです。

しかし、直近の平成31年、3月3日に実施された同試験においては、受験者総数6,164名に対し、合格者総数は4,054という結果で、合格率は65.8%と合格率がだいぶ下がっていることがうかがえます。

以前は合格しやすいとされていた柔道整復師ですが、近年では合格率は60%台。平成29年度実施分については60%を割りました。

受験者数自体は例年7,000人前後とあまり変化はありませんが、この合格率の低下の背景には、人の命を預かることによるより高度なレベルの人材の確保、そのための試験問題の質・量のレベルの難化が考えられます。

当然のことと言えば当然ですが、受験をお考えの方は、より“柔道整復師という仕事はどんな仕事か”ということを今一度考え直し、日々の受験勉強のモチベーションを保つといいかもしれません。

無事国家試験合格しただけではダメ?免許申請とは

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晴れて柔道整復師に合格しても、これだけでは「柔道整復師」を名乗ることができません。施術もできません。

ではどうしたら柔道整復師を名乗ることができるのでしょうか。

「公益財団法人 柔道整復研修試験財団」へ免許登録の申請を行い、厚生労働大臣の免許を受けることで、名簿に登録されます。ここで初めて柔道整復師を名乗り、施術を行うことができるようになるのです。

就職先としては、病院や整骨院、接骨院、あるいはスポーツトレーナーなどで活躍することができます。

柔道整復師として業務に携わっているかたは近年増加傾向にあり、スポーツはもちろん、高齢化が叫ばれる昨今の介護分野での需要も大いに見込まれるので、就職口はこれからも広がるというのがおおよその見方です。

独立開業はできるの?

柔道整復師は独立開業ができる資格です。また、それを目指して同資格の取得を目指す方も年々増えており、現在では全国において4万8千もの接骨院が存在しているともいわれています。開業をする場合には必要な書類を用意する必要があります。その書類は以下のとおりです。

  • 1.施術所開設届
  • 2.柔道整復師免許
  • 3.施術所の平面図
  • 4.最寄り駅からの案内地図
  • 5.定款の写しと登記簿謄本
  • 6.賃貸契約書

どんなに資格を取っていても、独立した接骨院を続けるためには集客力が必要です。

Webによる集客力やSNS等を用いたマーケティングなど、常に能動的に動くことが集客のカギになってくると言えるでしょう。

なお、開業資金に関してですが、施設の規模、あるいは医療機材の導入等によりますが、だいたい700〜1,000万程度となっております。

独立をすると、集客力によって収入が大きく変わってきます。目安としては250〜1,000万程度が想定年収になってくるでしょう。

数字で分かる通り、本当に年収の差が激しいのが独立院のリスクです。

柔道整復師の資格を得たからすぐに独立するのはリスクが大きいため、一定の場所で働いてリピート客を作っておくことが成功のカギになるかもしれません。

まとめ

国家試験と聞くとすごく難しいのでは・・・と構えてしまう方も多いかと思いますが、しっかりと専門科目を学ぶことができれば、柔道整復師の資格を取ることができます。

合格率を見ても、他の国家資格に比べて比較的取りやすい資格であることがわかったと思います。

また、合格率は専門学校や四年制大学によって大きくことなります。確実に取得をしたい場合は、合格率の高い学校を目指してみてはいかがでしょうか。