柔道整復師になるには国家試験に合格する必要があります。ただ、国家試験は誰でも受けられるというわけではありません。受験資格をクリアしなければ、挑戦することはできないのです。受験資格についてはもちろん、国家試験の内容や合格後の手続きに至るまで、詳しく解説します。
柔道整復師の国家試験の受験資格は学校卒業!
柔道整復師の国家試験の受験資格は、厚生労働省のホームページにて以下のように記されています。
1.大学に入学できる者で、文部科学大臣もしくは都道府県知事指定の柔道整復師養成施設及び学校において、柔道整復師となるために必要な知識及び技能を3年以上学び、習得した者。
2.柔道整復師法の一部を改正する法律が施行される前に、文部大臣または厚生大臣指定の学校及び養成施設において、規定する知識・技能の習得を終えている者。または改正法施行時に習得中であって施行後に習得を終えた者。
上記の内容はわかりやすくかいつまんで掲載しています。受験資格には2つの条件があり、このいずれかを満たしている人だけが、柔道整復師の国家試験を受験することができます。
また、「2.」については1988年に柔道整復法の一部改正案が公布され、1990年に施行されました。この施行された1990年を基準にそれまでに学校や養成施設ですでに必要な教育課程を習得している者及び、1990年の時点で習得中で施行後に習得を終えた者のことを指しています。
これから柔道整復師になるために国家試験を目指している人は、「1.」を確認しておくと良いでしょう。
柔道整復師の国家試験の概要
これから柔道整復師の国家試験を目指す人は、試験科目や試験内容が気になるでしょう。こう瀬労働省のホームページでは、試験科目についての記載があります。また、試験内容についても今後一部変更になるとのことです。
試験科目と試験内容、別々に焦点を当ててさらに掘り下げて解説します。
試験科目
- 解剖学
- 生理学
- 運動学
- 病理学概論
- 衛生学・公衆衛生学
- 一般臨床医学
- 外科学概論
- 整形外科学
- リハビリテーション医学
- 柔道整復理論
- 関係法規
以上11科目が柔道整復師の国家試験で行なわれる試験科目です。すべて4つの選択肢から1つ選んで回答する選択式です。ただ、問題数が大変多いので、ペース配分を考えないと時間が足りずに最後まで回答することができない、ということも起こりかねません。
試験内容
国家試験の内容は、2020年と2022年の2階に渡って大幅に変更されます。これは、教養面でも技術面でもさらにレベルの高い柔道整復師を育成することが目的です。
2020年以降の国家試験
2020年以降の国家試験では、問題数と必修問題の出題範囲が変更されます。問題数はそれぞれの試験科目の問題数が230問から250問に増加されます。ただでさえ問題数が多い状態ですが、更に20問追加されるということです。
また、必修問題の範囲は現行は各試験科目すべてから出題されていました。ですが、範囲が狭められ、「柔道整復術の基礎」「保険診療に関する知識」「関係法規に関する知識」から主に出題されるように変更されました。
なお、必修問題内での関係法規は削除され、その代わりに「柔道整復理論」から15問ほど出題されるように改定されています。
2022年以降の国家試験
2018年4月からすべての柔道整復師の養成施設や学校において、新カリキュラムが導入されています。これを踏まえた内容に変更されることが決まっています。
具体的には、「柔道整復理論」からの出題数が15問から20問に変更されます。ただ、現段階で増加数については明確になっていません。今後、さらに増える可能性もあります。
合格基準
柔道整復師の国家試験の合格水準は、一般問題と必修問題とで分けて設定されています。一般問題の合格水準は6割以上です。ただ、必修問題は絶対に知っておかなければならない問題が多く出題されているため、8割以上正答していなければいけません。
なお、合格率については新卒は80%程度と高い合格率を保っています。ですが、すでに学校を卒業した既卒者は20%前後です。新卒者に比べて知識の点で忘れてしまっていたり、思うように勉強時間が取れていなかったりするのが原因と思われます。
なお、試験内容な年々難しくなっています。そのため、合格率も減少しているというのが現状です。今後も試験内容の改定はあると予想されていますので、更に合格率も下がっていくでしょう。
試験会場
試験会場は厚生労働省のホームページでは、「北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県」と記されています。ですが、毎年これらの都道府県で試験が行なわれるとは限りません。年度によって試験が実施される都道府県は変更されています。
その年にどこの会場で国家試験が実施されるのかは、「公益財団法人 柔道整復研修試験財団」にて公開されます。また、学校や養成学校でも知ることができますので、確認しましょう。
試験日・合格発表日
柔道整復師の国家試験の試験日は、3月の第1日曜日に各地の会場で実施されます。詳しい試験日の日程に関しては、厚生労働省や柔道整復研修試験財団などでも公開されます。また、学校でも詳しい日程を知ることができますので、必ず自分で調べておきましょう。
また、合格発表は毎年3月26日前後に行なわれます。主な確認方法は、厚生労働省のホームページにある「厚生労働省について」の中に「資格・試験情報」というページがあります。ここで確認することができます。また、公益財団法人柔道整復研修試験財団でも確認することが可能です。
柔道整復師の国家試験に関する必要手続き
柔道整復師の国家試験には受験する前と後で、それぞれ手続きが必要です。特に合格後の手続きについては、柔道整復師として仕事を始めるために大切なものです。
受験前と受験後のそれぞれに分けて解説しますので、確認してください。
柔道整復師の国家試験受験前に必要な手続き
柔道整復師の国家試験を受験するには、以下の書類が必要です。
- 受験願書
- 写真
- 修業証書または卒業証書
「受験願書」は、必要な教育課程を終えた学校や養成施設で入手可能です。また、公益財団法人柔道整復研修試験財団でも入手することができます。
写真については、出願より以前6か月以内に脱帽正面のものを用意します。ただ、写真を撮影して用意すれば良いというだけではありません。その写真が確かに受験者本人であることを学校や養成施設、または公益財団法人柔道整復研修試験財団で確認してもらう必要があります。
修業証書や卒業証書の場合は特に問題ありません。ただ、修業見込証書や卒業見込証書の場合は、指定された必要期限までにそれぞれ修業証書または卒業証書を提出しなければいけません。もし期限までに提出が遅れた場合は無効となり、国家試験の受験資格はなくなります。
また、受験料は16,500円です。公益財団法人柔道整復研修試験財団が指定する銀行もしくは郵便の口座に振り込みます。
柔道整復師の国家試験合格後に必要な手続き
柔道整復師の国家試験に合格した後は、免許登録をしなければなりません。これをしないと柔道整復師として仕事をすることができないからです。免許登録に必要な書類は以下の通りです。
- 申請書
- 診断書
- 登録済証明書
- 登録免許税の収入印紙9,000円分
- 登録手数料4,800円の領収書
申請書と診断書は公益財団法人柔道整復研修試験財団から入手可能です。PDFファイルが用意されていますのでダウンロードし、必要事項を記入します。
大切なのは「登録済証明書」です。免許登録をしたからと言って、すぐに柔道整復師の免許が交付されるわけではなく、だいたい1か月くらいかかります。免許が発行されるまでは塔労苦済証明書が免許の代わりとなり、仕事をすることができます。希望者のみにしか発行されないので、忘れず、免許登録と同時に発行手続きをしておきましょう。
柔道整復師の国家試験出題基準とは?
柔道整復師の国家試験の出題範囲は、大変広く、すべてを網羅するのは大変です。そこで心強い味方になってくれるのが国家試験出題基準です。毎年実施されている国家試験の内容を基準に、どのようなところが重点的に出題されているかがわかるように作成されています。これを参考にすれば、重点的に勉強が必要な部分がわかるのです。
本屋でも柔道整復師の国家試験出題基準は売られています。ですが、最新のものだけを入手したいのなら、公益財団法人柔道整復研修試験財団のホームページで公開されていますので、それをダウンロードして活用すると良いでしょう。
柔道整復師の独立開業に必要な資格とは
柔道整復師として独立開業したあと、取得しておくと良い資格があります。それは「施術管理者」です。取得しておくと、保険診療が可能になります。反対に言えば、施術管理者の資格を取得していなければ、保険診療はできないということです。
自費のみの施術で経営を行なっていくのなら、取得する必要はありません。ですが、施術管理者の資格を取得しておけば、施術の範囲が広がり、売り上げが伸びる確率が高くなります。
施術管理者の資格を取得するには、一定期間の実務経験と決められた研修を修了した後に修了試験に合格する必要があります。実務経験は最低で3年と決められています。独立開業するための資金を集めている期間中に施術管理者の資格取得も考慮に入れておくと、スムーズに取得できるでしょう。
まとめ
柔道整復師は医師に準ずる医療行為を行なう職業のため、国家試験が必要です。また、国家試験には厳しい受験資格が課せられています。試験内容も決して簡単とは言えませんが、その分免許には大きな価値が生まれます。自分のスキルアップを狙っている人は、ぜひ気を引き締めて合格を目指して勉強に取り組んでください。