2020/05/02
柔道整復師とは

柔道整復師と理学療法士の違い。給料や仕事内容、難易度で比較

整体

柔道整復師と理学療法士、資格として違うことは知っていても、その役割や仕事内容がどう違うのかしっかり理解している人は意外と多くありません。

具体的に掘り下げてみると柔道整復師と理学療法士はその仕事の内容や範囲が全く異なります。

ここでは、更に給料や難易度についても比較してその違いについて解説します。

柔道整復師と理学療法士の違い

柔道整復師と理学療法士は似ていると勘違いされることが多々あります。ですが、具体的に見てみるとこの二つは全く異なります。その中でも特に大きく異なるポイントを4つに絞り、それぞれについて解説します。

柔道整復師はケガを治し、理学療法士はリハビリをサポートする

柔道整復師と理学療法士では、まず治療の目的が異なります

簡単に説明すると、柔道整復師はケガを治すことを目的として施術を行い、理学療法士はリハビリをサポートすることが目的です。

柔道整復師は、ケガを治すことが目的ですが、どんなケガに対しても施術ができるわけではありません。柔道整復師が施術を行なうことができるのは、急性のケガのみです。

慢性のケガや痛みに対して絶対に施術を行うことができない、というわけではありません。ただ、その場合は保険適用外での治療になります。

一方、理学療法士は、慢性的な痛みや病気に対して機能回復を目的としたリハビリをサポートします。慢性的な痛みや病気に対する治療においては、柔道整復師よりも理学療法士の方が広範囲です。ただし、具体的にマッサージをするなどの施術行為はできません。

あくまでサポートするだけです。理学療法士は施術や治療の権限を持っていないため、具体的な施術を行なうことはできないのです。リハビリを行なっている患者様に寄り添い、手を貸してあげたり、更なるケガをしたりしないように注意を払うことが仕事内容です。

自身の判断で医療行為ができるのは柔道整復師

柔道整復師は自分の判断で医療行為を行うことができますが、理学療法士は医療行為そのものを行うことができません。

柔道整復師の治療範囲は骨や関節、腱や靱帯などに対して施術を行ないます。主な怪我の内容として挙げられるのは脱臼や骨折、捻挫や打撲などです。これらは痛みや怪我の度合いによって、医師が診断をしてから施術を行わなければいけません。

ですが、柔道整復師は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二」において届出をした者ならば行っても良い、とされています。柔道整復師としての業務範囲内ならば、自分で診察や診断をして施術を行なっても良いのです。

なお、柔道整復師の医療類似行為については、厚生労働省のホームページに詳しい内容が掲載されています。具体的な内容を書くにしたい方はそちらをご覧ください。
(参照:医業類似行為に対する取扱いについて|厚生労働省)

一方の理学療法士は、医療行為は一切認められていません。理学療法士には医療行為はもちろん、柔道整復師のような医療類似行為も認められていないからです。理学療法士はあくまでリハビリテーションの専門家です。

機能回復に励む患者様のサポートを行なうのが理学療法士の仕事ですから、自分で診察や診断をすることは禁止されているのです。

開業権があるのは柔道整復師

柔道整復師は開業権がありますが、理学療法士には開業権がありません。簡単に言えば、柔道整復師は自分の病院を持つことができますが、理学療法士はどこかの病院や治療施設でしか仕事ができないということです。

柔道整復師は数少ない開業権がある資格です。そのため、ある程度どこかの整骨院や接骨院などで経験を積んだのち、独立開業する人もいます。独立開業すれば、病院勤務よりも収入が増える可能性も広がりますし、自己流の施術を患者様に行なうことも可能になります。

自由に患者様を診察・診断し、施術を行うことができるので、柔道整復師としてのスキルアップもできるでしょう。

理学療法士は、開業権が与えられていません。これは医療行為はもちろん、医療類似行為も禁止されているからです。理学療法士は必ず医師の診断や診察の指示に従って仕事をしなければいけません。自分で診断や診察ができないので、開業権がないのです。

就職先・活躍の場も異なる

柔道整復師と理学療法士は、就職先や活躍の場も異なります。

柔道整復師の就職先は、整骨院や接骨院です。また整形外科などでも活躍することができます。更に、柔道整復師はある程度自分の診断や診察で施術を行うことができるため、アスリートの施術やサポートを行う場合もあります。

柔道整復師は施術の範囲が比較的広いので、就職先や活躍の場は広範囲に広がっています。

一方の理学療法士は、病院が主な就職先です。リハビリテーション科はもちろん、リハビリが必要とされる脳神経外科や整形外科でも活躍することができます。また、最近は介護施設でもリハビリが積極的に行われるようになりました。

病院に併設された介護施設も複数あり、そのような場所で理学療法士が活躍するということも増えてきています。

柔道整復師と理学療法士のメリットデメリット

メリットデメリット

柔道整復師と理学療法士には、それぞれメリットとデメリットがあります。いいことばかりではないということです。どのようなメリットとデメリットがあるのか、深く掘り下げて解説します。

柔道整復師のメリットデメリット

メリット

デメリット

開業できる

家庭との両立が難しい

目に見える結果が早く出る

競争が激化している

柔道整復師のメリットはまず開業できることです。柔道整復師の資格を取得したばかりの頃は、どこかの病院に勤めなければいけません。ですが、ある程度実務経験と必要な資金が貯まれば、自分の病院を持つことができます。

柔道整復師は医療類似行為が許されていますから、開業すれば独自に編み出した施術方法を試すことができるのです。

また、柔道整復師は直接患部に施術を行ないます。そのため、目に見える効果が早く出るというメリットもあります。自分の診断や診察で施術を行ない、素早い効果があらわれれば当然患者様は喜びますし、自分自身も満足感や達成感が得られるでしょう。

そういう言意味では、大変やりがいのある仕事と言えます。

ただし、柔道整復師は拘束時間が大変長いというデメリットがあります。病院によって開院時間は異なりますが、早いところでは朝7時や8時から開院し、夜は22時や23時まで施術を行なっている病院もあります。

当然、開院している間は家に帰ることができません。家に帰ったらすでに日付が変わっていたということも多々あります。家庭と両立するのは大変難しいというのが現状です。

また、最近では整骨院や接骨院の需要が増えつつあります。それに伴い、柔道整復師の資格を取得して仕事に就く人や開業する人も増加傾向にあるという現状です。

柔道整復師の資格を取ったけれど就職先がないということも多々あり、資格を活かすことができない人も増えてきています。また、柔道整復師として開業したけれど競争に負けて廃業に追い込まれる病院も増えてきています。

現在、柔道整復師は競争が激化しているというのもデメリットと言えるでしょう。

理学療法士のメリットデメリット

メリット

デメリット

家庭と両立できる

効果が出るまで時間がかかる

求人数が多い

自分の判断で施術できない

理学療法士のメリットは家庭と両立できる点です。理学療法士は医療機関はリハビリ施設がある病院に勤めることになります。このような場所では拘束時間は長くありません。ほとんどの医療機関などでは、勤務時間は朝は8時頃から開始し、17時頃には終了します。

病院自体がそのような時間帯で患者様を受け付けているからです。その後に事務作業などを行なう場合もありますが、日付が変わるまで仕事をしなければならないということはありません。

また、福利厚生もしっかりしているところが多いので、休みも取りやすいですし、家庭との両立がしやすいのです。

また、理学療法士は求人数が大変多いというメリットもあります。理学療法士を目指す人たちの人数は年々増加傾向にあります。その一方で、理学療法士を求める求人数も増加傾向にあるのです。

最近は病院だけではなく、介護施設などでも理学療法士を求める声が上がってきています。活躍の場は今後も増加していくでしょう。

ただ、理学療法士は目に見える結果が出るまで時間がかかるというデメリットがあります。これは、直接患部に施術を行なうわけではないからです。理学療法士の仕事はあくまでリハビリをする患者様のサポートです。

そのため、患者様の頑張りや努力にかかってます。サポートをしながら、「本当にこれであっているのだろうか」と疑問を抱くことも多いのでしょう。それでも患者様を励ましながら根気強くサポートを続けていかなければいけません。

また、理学療法士は自分の診断や診察で施術を行なうことができません。医療行為はもちろん医療類似行為も認められていないからです。もし、患者様の様子を見ていてリハビリのメニューが合っていないと感じた場合には、まずは医師に相談しなければいけません。

ただ、医師とのコミュニケーションが取りやすい環境なら相談できますが、必ずしもそのような環境ばかりではないでしょう。その場合は、間に誰かを入れて医師に相談してもらうなどの工夫が必要になります。

給料・収入はどちらが高い?

貯金箱

収入

柔道整復師

理学療法士

初任給

20~25万円

 20万円

平均月給

30~40万円

30万円

平均年収

300~400万円

357万円

柔道整復師と理学療法士のそれぞれの初任給・平均月給・平均年収を見てみましょう。

一見すると、どちらもあまり大差はありません。初任給も平均月給も平均年収も同じような金額に見えます。ただ、あえて違う点を指摘すれば柔道整復師の方には幅があることです。

これは、柔道整復師の場合は就職先などによって給料や収入が大幅に変わることが理由です。

柔道整復師は開業権を持っています。開業して多くの患者様を獲得することができれば、当然それだけ収入が増えます。

また、新人柔道整復師としてどこかの病院に就職した場合も、その病院で多くの患者様を抱えていれば、それだけ初任給も平均月給も平均年収も高くなります。

一方の理学療法士はそこまで高額な給料は望めません。その理由として挙げられるのが就職先です。理学療法士になりたての人の多くは大病院に就職します。大病院はリハビリテーション施設があるため、常に求人を募集しているからです。

ただ、病院の規模が大きくなるとそれだけ多くの医療スタッフを抱えています。また、勤続年数が長い医師も在籍しています。当然勤続年数や実績の高い医療スタッフの給料は高くなり、反対に新米の医療スタッフの給料は低くなります。

また、理学療法士は目に見える結果が出にくいというデメリットを抱えています。昇給の目安となるのは目に見える結果です。その結果がすぐに出にくい理学療法士は昇給も他の医療スタッフに比べて遅く、割安になっているという現状があるのです。

これらの理由から一見すると、柔道整復師も理学療法士も給料に差はないように見えます。ですが、その実態は結果が出やすい、開業できるなどの理由から柔道整復師の方が高いというのが現状です。

資格取得の難易度はどちらが高い?

柔道整復師の資格を取得するには、まずは最低3年間養成施設や養成学校に通って教育課程と実習を修了し、国家試験の受験資格を得る必要があります。ただ、国家試験に合格したからと言って、それで資格取得したことにはなりません。

その後、ライセンス取得のための手続きを行う必要があります。

一方の理学療法士も、まずは最低3年間養成施設や養成学校に通って教育課程と実習を修了し、国家試験の受験資格を取得しなければいけません。国家試験に無事合格すれば、晴れて理学療法士として仕事をすることができます。

国家試験には受験資格があること、受験資格を得るにはどちらも最低3年間の教育課程を修了しなければいけない点は同じです。ただし、それぞれの国家試験における合格率には大きな差があります。

柔道整復師の国家試験の平均合格率は6~7割ですが、これは難関傾向にあります。一方の理学療法士の国家試験平均合格率は8~9割です。

また、柔道整復師は国家試験に合格しても更にライセンス取得のための手続きがあるのため、資格取得の難易度で見た場合、高いのは柔道整復師と言えます。

柔道整復師と理学療法士、将来性を考えるとどっち?

柔道整復師は、高齢化に伴い、施術を必要とする人たちが増えてきています。また、働く女性が増えてきているため、肩こりや腰痛に悩まされる女性が増加傾向にあるという背景もあります。

このことから、整骨院や接骨院での施術を求める人たちが増えてきているという現状があります。ただ、それと反比例する形で国家試験は難易度が上がり、柔道整復師の国家資格を取得できる人が少なくなってきています。

このことから、柔道整復師の将来性はまだまだあると言えるでしょう。

一方、理学療法士は介護施設が増えてきており、そこで理学療法士を求める声が高まっています。また、最近はスポーツトレーナーの資格を取得し、スポーツの世界で活躍する理学療法士も増えてきています。

他の資格を取得してダブルライセンスになれば、活躍の場はまだまだ増えていきます。これらの点から、理学療法士も将来性は安定していると言えます。

柔道整復師と理学療法士のどちらが将来性があるかということは言えません。ただ、柔道整復師と理学療法士では患者様との関わり方が大きく異なります。自分がどのような形で患者様と関わっていくのかを考えて選ぶことの方が重要と言えます。

柔道整復師と理学療法士のダブルライセンスは珍しい

本

柔道整復師と理学療法士のダブルライセンスを取得している人は多くはありません。

その理由は、どちらも資格取得までに大変時間と手間がかかるから。柔道整復師も理学療法士もどちらも国家試験に合格しなければなりません。

ただ、それぞれの国家試験には受験資格が設けられており、最低3年間の教育課程を修了する必要があります。柔道整復師と理学療法士のダブルライセンスを狙おうと思ったなら、最低でも6年間の教育課程を修了しなければいけないのです。

ただ、柔道整復師と理学療法士のダブルライセンスを取得すると、就職先や活躍の場は格段に広がります。自分の診断や診察で患者様を施術することも可能ですし、リハビリの知識を駆使したサポートも行うこともできます。

就職先も大病院や介護施設などへの勤務も可能になります。時間はかかりますが、そのメリットは大きいと言えるでしょう。

柔道整復師とのダブルライセンスにおすすめの資格

柔道整復師にはおすすめのダブルライセンスがあります。これから紹介する資格も取得しておくと就職や転職はもちろん、独立開業した時にも大いに役に立つでしょう。

資格①アスレティックトレーナー

アスレティックトレーナーは、スポーツ選手やアスリートがケガをした場合に、応急処置はもちろん、その後の機能回復のためのサポートまで行なうことができるサポートスタッフです。

更には、ケガを予防するためのトレーニングメニューを提案することもできます。柔道整復師とダブルライセンスを取得しておくと、スポーツ業界での活躍の場を広げることができます。

アスレティックトレーナーは民間資格です。柔道整復師が資格の取得方法は、柔道整復師の国家資格を取得してから「認定アスレチック・トレーナー(JATAC-ATC)」という民間資格を取得します。

ただ、柔道整復師の養成学校では、教育課程修了時にJATAC-ATCの受験資格も取得できるカリキュラムが組まれているところもあります。そのような学校を選ぶとダブルライセンスの取得が簡単です。

資格②あん摩マッサージ指圧師

あん摩マッサージ指圧師は、文字通りあん摩やマッサージの施術を行な人です。国家試験に合格して資格を取得をする必要があります。国家試験には受験資格があり、最低3年間専門の養成学校で教育課程を受講して修了します。

柔道整復師はあん摩やマッサージ、指圧を行なうことはできません。ダブルライセンスを取得しておけば、開業したあとで他院と住み分けができます。施術内容も広がり、多くの患者様の獲得にもつながるでしょう。

資格③はり師

はり師も柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師同様に、国家資格が必要です。国家試験には受験資格が設けられており、最低3年以上専門の養成学校で勉強する必要があります。その後、国家試験に合格すればはり師として仕事をすることができます。

柔道整復師として仕事をする中で、鍼治療をした方がより目に見える効果があると感じることもあるでしょう。また、独立開業したあと、鍼治療も行なうことができれば、他のライバル院と差をつけることもできます。

柔道整復師と理学療法士は施術内容や範囲が全く異なる!

柔道整復師と理学療法士は、同じだと勘違いされがちですが、実際は施術内容や範囲が大きく異なります。柔道整復師はケガを治す専門家、理学療法士はリハビリの専門家と覚えておくと良いでしょう。

また、どちらも資格取得には大変時間がかかりますが、その分メリットは大きいという点もあります。更なるキャリアアップを目指してダブルライセンスを目指してみるのも良いかもしれません。