2020/03/22
柔道整復師とは

柔道整復師と整体師はなにが違う?マッサージは可能?

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柔道整復師は聞いたことがないけれど、整体師なら知っているという人も多いでしょう。

柔道整復師と整体師はどこがどのように違うのでしょう。実際には施術内容や対応できる領域など、さまざまな違いがあります。

今回や、柔道整復師と整体師の違いや、その他の資格との比較をしていきます。

柔道整復師と整体師の違い

柔道整復師と整体師には、有する資格や対応可能な施術内容の面で違いがあります。

ここでは「資格」「施術内容」「年収」に分けて見ていきましょう。

資格の違い

柔道整復師

整体師

国家資格が必要

国家資格は不要
民間の認定試験を受験する

柔道整復師は国家資格になるので、国家試験に合格する必要があります。また、国家試験には受験資格が設けられており、養成学校に通学し、最低3年の教育課程を修了しなければいけません。

一方、整体師は国家資格が不要です。その代わり、民間で行われている認定試験を受験して、資格を取得する必要があります。取得方法は、学校に通うものもあれば通信教育で取得できるものもあります。

施術内容の違い

柔道整復師

整体師

  • 骨折・打撲・捻挫・脱臼などの治療が可能
  • ・開業の際に申請すれば交通事故の後遺症治療が可能
  • ・施術管理者としての資格を取得すれば保険を利用した治療が可能
  • ・代替医療のみ施術が可能
  • ・直接患部の治療を行うことは不可
  • ・保険適用の施術は不可

柔道整復師は、医師と同じ医療行為が可能なため、直接患部への治療を行うことができます。また、開業の際に施術管理者としての資格を取得すれば保険を利用した治療を行うことができるので、施術料金を低く設定することができます。

整体師は国家資格ではないため、保険を適用した治療を行うことはできません。また、患部に直接治療を行うことは医療行為とみなされます。整体師はこのような医療行為は一切認められていないので、行うことはできません。もしそのような施術を行った場合は罰せられることもあります。

平均年収の違い

柔道整復師

整体師

300~400万円

200万円前後

柔道整復師は国家資格になるため、接骨院などで勤め始めたとしても年収は300~400万円が相場と言われています。国家資格があるということで、年収に反映されているのです。

整体師は国家資格ではないため、200円前後が相場です。また、それ以下になることもあります。ただ、スキルが高ければ患者様からの指名されて年収がアップするということは充分あります。

独立開業すると話は別です。独立開業は自信のスキルも必要ですが、それ以上に経営スキルが重要です。経営スキルの高さによっては、柔道整復師よりも整体師の方が年収が高い、というケースは多く見られます。

柔道整復師のマッサージは違法行為?

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柔道整復師のマッサージは違法行為になります。何故なら、マッサージ師としての国家資格が必要になるからです。

マッサージが認められているのは、「あはき業」と呼ばれている人たちのみです。あはき業とは、按摩師・はり師・きゅう師の人たちのことで、この頭文字を取って「あはき業」と言います。柔道整復師とは異なる国家資格が必要となります。

あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師・柔道整復師についてそれぞれ解説します。

あん摩マッサージ指圧師

あん摩マッサージ指圧師が治療できる領域は、手を使った施術のみです。あん摩・マッサージ・指圧などのような施術のみが可能で、人間の身体の変調を改善することが目的です。基本的に器具や機械を使った施術は想定されていません。そのため、養成所で学ぶ際にも器具を使った教育課程はありません。

あん摩マッサージ指圧師は国家資格になり、養成所で最低3年の教育課程を修了後、受験資格を経て国家試験を受験します。養成所も制限があり、理学療法士や医師、あん摩マッサージ指圧師教員などの資格を持った人のみが指導に当たることができます。

現在、あん摩マッサージ指圧師を養成する学校やカリキュラムは大変少なく、養成所自体の倍率が大変高くなっています。

鍼灸師

鍼灸師はひとまとめにされていますが、はり師ときゅう師の2つの国家資格が必要です。この2つは全く別物の国家資格となっており、両方の国家試験に合格することで、鍼灸師として施術が可能になります。

施術は鍼と灸を使った内容になります。マッサージは別の国家資格が必要になるため、行うことはできません。もし行うと「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に基づき、罰せられます。

高等学校卒業後3年以上、厚生労働省が指定する養成学校にて教育課程を修了する必要があります。その後、国家資格受験資格が与えられ、そこで合格できれば資格が得られます。鍼灸師としての資格は日本には存在してません。はり師ときゅう師のそれぞれの国家試験を受けて合格しなければ、鍼灸師にはなれないのです。

柔道整復師

柔道整復師は、あはき業に含まれない施術を行うことができます。マッサージや鍼治療、灸を使った施術以外の施術を行うことができるということです。また、開業時に施術管理者としての資格を取ると、保険適用の施術も行うことができます。

柔道整復師は整骨院や接骨院で働くだけではありません。大学や短期大学では、柔道整復師の国家試験受験資格を取得すると同時に、スポーツトレーナーとしての資格も取得できるようになっています。また、教職免許を取得すれば、中学校や高校で体育教師として指導に当たることもできます。

柔道整復師は並行して他の資格取得もできるようなカリキュラムが組まれているので、上手に複数の資格を取得すれば活躍の場を広げることができます。

その他の整体業界の職種

整体業界には柔道整復師や整体師以外にも、さまざまな職種があります。中には聞いたことがあるものもあるでしょう。

柔道整復師以外の整体業界にある職種を民間資格も含めながら紹介します。

リフレクソロジスト

リフレクソロジストとは、手や足のツボのような部分を指で押して内臓の治癒力や新陳代謝を上げる施術をする人です。この施術方法はアメリカで開発されました。

国家資格ではなく、民間資格が必要です。主な団体としては日本リフレクソロジスト認定機構(JREC)や日本ヒーリングリラクセーション協会(JHRS)があります。これらの団体に認定されている学校や通信教育等で学び、資格を取得することができます。

セラピスト

セラピストは、患者様と会話をすることで身体だけではなく、心にもアプローチして治療する人のことです。施術のスキルも必要ですが、同時に心のケアをすることも目的ですので、高いコミュニケーション能力が求められます。

国家資格が必要なものとして挙げられるのが理学療法士や作業療法士です。国家資格ですから、養成学校に通って受験資格を取得し、国家試験を受けなければいけません。

民間ではアロマセラピストや臨床心理士が挙げられます。こちらは民間認定なので、養成所以外に通信教育もあります。

カイロプラクター

アメリカで始まったカイロプラクティックを行う人のことです。カイロプラクティックはアメリカ発祥の手技療法ですが、日本では法的な資格制度は存在していません。職業としての分類も、「その他の保険医療もしくはサービス業」に分類されています。

国家資格はありませんが、民間認定があります。主な団体は一般社団法人日本カイロプラクターズ協会(JAC)や全国健康生活普及会(全健会)があります。

深層筋アプローチセラピスト

深層筋アプローチセラピストとは、身体の深い部分にある筋肉にアプローチして、深い凝りをほぐしたり、リンパの流れをスムーズにしたりする施術者のことです。結構も良くなると言われています。

指圧だけではなく、ストレッチなども取り入れて施術を行います。ボディのアンチエイジングケアとして女性の間で人気が高まっています。

民間の認定資格があり、主な団体は深層筋アプローチアカデミーです。また、美容整体を教えているスクールなどでも学ぶことができます。

まとめ

柔道整復師と整体師の大きな違いは、国家資格の有無です。柔道整復師は3年間という長い教育課程を修了した後、国家資格を取得しています。国家資格を取得することで、収入も高くなります。将来のことを考えて、柔道整復師を目指すというのも一つの方法です。