柔道整復師の専科教員とは、柔道整復師の養成学校で教育課程はもちろん、実技も教えることができる講師のことです。
専科教員としての資格を取得すると、医療現場だけではなく、医療の専門学校や大学で教員として勤めることができます。
今回は柔道整復師の専科教員について、なるための方法や年収、就ける仕事などを調査しました。。
目次
柔道整復師の専科教員ってどんな仕事につけるの?
柔道整復師の専科教員の資格を取得すると、養成学校で専任教員になることができます。専門学校や大学などで、柔道整復師になる為に必要な教育課程を教えることが可能になるのです。
柔道整復師としての知識や資格も取得していますから、開業しながら非常勤講師として養成学校で教えるという人が多くいます。講師としての給与も得られるので、収入面で安定するというメリットがあります。
また、柔道整復師の専科教員はその前に何らかの学校教育に携わっている人が多いというのが現状です。すでに「教える」という経験をした人が、更なるスキルアップのために柔道整復師の専科教員資格を取得し、そのまま勤務先である養成学校で教えるというパターンが多く見られます。
柔道整復師の専科教員の年収
柔道整復師の専科教員の年収は、常勤講師では400~480万円が相場となっています。ですが、これはあくまで全国平均での相場ですから、地域によってはもう少し少なくなる可能性があります。また、非常勤講師の場合はさらに低くなると見た方が良いでしょう。
ちなみに柔道整復師としての平均年収は、30代で400万円前後が相場と言われています。年齢や地域によって差は出てきますから、もう少し高かったり少なかったりするでしょう。また、開業医の場合でも相場は大きく異なります。
ですが、大まかな平均相場で見ると、柔道整復師の専科教員の年収は、30代の柔道整復師の年収と同じくらいと言えます。
柔道整復師の教員に向いている人・向いていない人
柔道整復師の専科教員は誰でも向いているというわけではありません。人に教えるという仕事ですから、向き不向きがあります。
向いている人と不向きな人の特徴について解説します。
向いている人の特徴
- ・話や説明が上手な人
- ・相手の立場に立てる人
- ・人と関わることが好きな人
- ・細かな仕事が得意な人
- ・自分の知っていることを伝えたいという熱意を持っている人
柔道整復師の専科教員は、教師です。そのため、自分の知っている知識を多くの人たちに説明するというスキルが重視されます。説明が上手な人や相手の立場に立った考え方ができる人でなければ務まりません。
また、教師という職業柄、試験の採点をしたり個人的な指導をしたりする必要も出てきます。細かな仕事ができる人でないと、仕事でのミスにつながるでしょう。それは受験生の試験に大きく影響しますから、小さなミスでは済まされません。
不向きな人の特徴
- 他人と関わることが不得意な人
- 人前で話すことが苦手な人
- 自分の知識を多くの人に教えたくないと思っている人
柔道整復師の専科教員は、たくさんの人たちと関わることが多い仕事です。他人と関わることが不得意な人は向いていません。
また、人前で話すと上がってしまうという人は、試験や今後の仕事で必要な知識を伝えるということができなくなる可能性が高くなります。向いてるとは言えないでしょう。
柔道整復師になると、自分なりの独自の方法を編み出すという人がいます。その知識を誰にも教えたくないという気持ちがあると、その気持ちが授業で露骨に出てしまい、受講者たちに伝わってしまいます。良い関係を築くことも難しくなるので、向いていないと言えます。
柔道整復師の専科教員になる方法・流れ
試験受講・・・試験日は毎年5月の第2日曜日
↓
合格発表・・・公益社団法人全国柔道整復学校協会のホームページにて発表
↓
講習受講・・・6~10月の土・日・祝日に開催される専科教員認定講習会を受講
柔道整復師の専科教員になるまでの主な流れは上記の通りです。
専科教員になるには、試験に合格するだけでは充分ではありません。その後、専科教員認定講習会を受講しなければ、専科教員としての資格は取得できないのです。
柔道整復師専科教員認定講習会とは?
柔道整復師の専科教員になるには、柔道整復師専科教員認定講習会を受講する必要があります。来rは、柔道整復師学校教育施設指定規則に基づいて、厚生労働大臣指定のもと実施されている講習会です。
講習会は東京と大阪の決まった会場でそれぞれ行なわれます。講習期間は6~10月の土日と祝日、全科目も講習を修了し、所定時間数の5分の4以上出席した人のみが、修了試験を受けることができます。この修了試験に合格して、ようやく専科教員として認定されます。
ちなみに、この講習会は無料ではなく、20万円かかります。この金額が高いと考えるか、それとも安いと考えるかはその人次第です。
また、会場は東京と大阪それぞれ1箇所のみということもあり、場所的にもかなりハードルが高いと感じる人が多くいます。また、6~10月の間の土日祝はすべて講習になるので、時間的にも厳しいものがあるかもしれません。
柔道整復師専科教員認定講習会の受講資格
柔道整復師専科教員認定講習会は、誰でも受講できる講習ではありません。受講資格が決められています。
- ・中等学校以上の卒業者
- ・柔道整復師の免許取得後、3年以上実務に従事したもの
上記の両方を満たしていれば、柔道整復師専科教員認定講習会の受講試験を受けることができます。
受講試験は毎年5月の第2日曜日に、東京と大阪のそれぞれ1箇所、合計2箇所で行なわれます。この試験に合格すると、柔道整復師専科教員認定講習会を受講できるという手順です。
ちなみに、柔道整復師専科教員認定講習会の受講試験の合格率は発表されていません。試験の主催者は(社)全国柔道整復学校協会ですが、合格率については電話での問い合わせにも応じないと、ホームページに明記されています。
柔道整復師専科教員認定講習会の内容
柔道整復師専科教員認定講習会の講習内容は、大きく「教職教育科目」「専門基礎科目」「専門科目」の3つに分けられています。それぞれの詳しい講習内容は以下の通りです。
【教職教育科目】
科目 |
時間 |
教育原理 |
24時間 |
教育心理 |
24時間 |
教育方法 |
12時間 |
教育行政 |
8時間 |
【専門基礎科目】
科目 |
時間 |
解剖学 |
8時間 |
生理学 |
8時間 |
病理学概論 |
4時間 |
衛生学 |
2時間 |
一般臨床医学 |
12時間 |
外科学概論 |
8時間 |
整形外科学 |
12時間 |
リハビリテーション医学 |
8時間 |
公衆衛生学 |
2時間 |
医学史 |
4時間 |
医事制度 |
12時間 |
※柔道(必須) |
4時間 |
【専門科目】
科目 |
時間 |
柔道整復学(理論・実技) |
64時間 |
※教育実習(必須) |
8時間 |
柔道の4時間と教育実習の8時間は、必ずそれぞれ決められた時間の受講が必要になります。その他の科目の必要受講時間が充分満たされていても、この2つの受講時間が足りていなければ修了試験の受講資格は得られません。
中学高校の体育教員になるケースも
柔道整復師として中学高校の体育教員になりたいと考えている場合は、柔道整復師としての資格だけでは不十分です。また、専科教員の資格を取得しても、中学高校の体育教員になることはできません。教員免許が必要です。
柔道整復師として中学や高校で体育教員になりたいのなら、短大・大学・大学院のいずれかを卒業しましょう。柔道整復師の受験資格と共に教員免許も取得できるという大学もいくつかあります。そのような大学へ進学して勉強するのが良いでしょう。
柔道整復師と教員免許が取得できる大学3選!
宝塚医療大学
学校名 |
学校法人平成医療学園 宝塚医療大学 |
アクセス |
兵庫県宝塚市花屋敷緑ガ丘1 |
学費 |
1年次:195万円、2年次以降:各165万円(4年間合計:690万円) |
定員 |
60名 |
国家試験合格率 |
61.9% |
公式サイト |
大きな強みは、柔道整復師の国家試験受験資格や教職免許だけではなく、スポーツ関連指導者としての資格も取得できる点です。スポーツの幅広い分野で活躍することができます。
講師陣が熱心に指導してくれるとという口コミが多く寄せられています。施設のレベルも大変高く、レベルの高い実習を行なうことができる点でも高い評価を得てます。
帝京大学
学校名 |
帝京大学 |
アクセス |
東京都板橋区加賀2-11- |
学費 |
1年次:184.3万円、2年次以降:各159.3万円 (4年間の合計662.2万円) |
定員 |
90名 |
国家試験合格率 |
不明 |
公式サイト |
アスレティックトレーナーの受験資格や社会福祉主事任用資格も同時に取得できます。仕事の幅が増えるので、合わせて取得を目指す人が多いようです。
ハイレベルの設備が揃っているので実習の精度がかなり高めです。卒業してからすぐに仕事に活かせるという口コミが多くあります。
上武大学
学校名 |
上武大学 |
アクセス |
群馬県伊勢崎市戸谷塚町634-1 |
学費 |
1年次:170万円、2年次以降:各160万円(4年間合計650万円) |
定員 |
40名 |
国家試験合格率 |
不明 |
公式サイト |
卒業後は、柔道整復師としての開業だけではなく、スポーツチームのトレーナーとして活躍することもできるカリキュラムとなっています。活躍の幅が広がるので、就職先の選択肢も格段に増えます。
大変熱心な講師陣で試験ギリギリまで対応にあたってくれるという口コミが多く寄せられています。講義内容のレベルも高く、実体験に基づいた話を聴くことができると高評価です。
まとめ
柔道整復師は、整骨院などの病院だけが活躍の場所ではありません。専科教員を目指せば、柔道整復師を育てる場でも活躍することができます。認定を受けるには、3年以上の実務経験が必要ですが、ある程度経験を積んだらこちらの道も選択肢に入れてみると良いでしょう。