2020/03/05
柔道整復師・開業独立

柔道整復師の開業には資格が必要?必須な条件や免許など

AdobeStock_103601194

 

”接骨院・整骨院を開業したい”

という思いを持って柔道整復師の資格取得を目指している方も多いのではないでしょうか?

しかし、接骨院・整骨院の開業に必要な免許や資格、条件を知らない人も多いと思います。そんな人のために今回は、

接骨院・整骨院を開業したい柔道整復師のために、

1、柔道整復師の開業に必要な資格
2、受ける必要がある研修・必要なスキル・必要な資金
3、開業に必要な免許・資格の取得方法

この3つについて調べていきましたので見ていきましょう。

柔道整復師の開業に必要な資格は免許だけ?

AdobeStock_103601507

柔道整復師が開業するために必要な資格は柔道整復師の免許が必要です。

その他にも研修や1年以上の実務経験、施術スキルや経営スキル、資金面でも多くのお金を必要とします。

そうなんです。柔道整復師が開業するためには必要なことがたくさんあるのです。

今回はたくさんある中から最初に必要な最低条件を紹介していきます。

 

ー必要な最低条件ー

①柔道整復師の免許を取得する

②開設届を保健所に提出する

③施術管理者になる(受領委任払いが必要であれば)

 

接骨院・整骨院を開業するために必要な最低条件は2つです。③”施術管理者になる”は無くても接骨院・整骨院を開業できます。しかし開業されている多くの柔道整復師の先生方は「施術管理者」となっております。このことも後でしっかり説明していきます。

 

①柔道整復師の免許を取得する

接骨院・整骨院を開業するために無くてはならないのが、柔道整復師の免許です。

そもそも柔道整復師の免許がないと、接骨院・整骨院で患者さんに施術をすることができません。柔道整復師として活動していくために必要な資格ですね。

 

 

②開設届を保健所に提出する

開設届とは、新しく開設する施術所の届出のことです。

ただし、”どんな大きさや設備の施術所で良い”訳ではありません。施術所の条件があります。その条件に則った施術所のみ保健所から認可されます。

その条件は4つあります。

 

ー施術所の条件ー

1. 6.6平方メートル以上の専用の施術室を有する。

2. 3.3平方メートル以上の待合室を有する。

3. 施術室は、室面積の1/7以上に相当する部分を外気に開放すること。(これに替わる換気装置を設けること。

4. 施術に用いる器具、手指等の消毒設備を設置すること。

参照元:品川区|施術所(柔道整復)の開設に関する手続

 

4つの条件に則った施術所を手に入れた後は開設届を各市区町村の保健所に提出します。

次に開設届を保健所に提出するまでの流れを説明していきます。

 

ー開設届を保健所に提出する流れー

事前相談 :構造設備や添付書類、開設の日程、広告などについてあらかじめ保健所に相談します。

開設:施設が整い、施術を開始できる状態にします 。

開設届:開設後10日以内に保健所の窓口に届けます。

検査:保健所の監視員が施設の検査をします。

副本の交付:開設届の副本をもらいます。

◯開設届の取得方法

開設届は各市区町村の保健所のHPからダウンロードできます。

※注意

北海道のとある市の保健所HPを見ましたが開設届をダウンロードできるページを確認できませんでした。保健所によってはHPからダウンロードできない場合もありますので、その場合は保健所に電話やメールで問合せしてみてください。

 

③施術管理者になる(受領委任払いが必要であれば)

”③施術管理者になる” だけ別にした訳があります。

その訳とは、施術管理者になるかならないかによって接骨院・整骨院の経営のやり方が変わるからです。

これからその説明をしていきます。

 

施術管理者とは略名で「柔道整復療養費の受領委任を取扱う施術管理者」のことです。

 

わかりやすく説明すると、

接骨院・整骨院での保険請求のやり方で「受領委任払い」「償還払い」というものがあります。施術管理者にならないと「受領委任払い」ができません。そして「受領委任払い」ができると接骨院・整骨院の経営のやり方が変わります。どう変わるかというと、保険請求の手間がかなり省けます。

◯受領委任払いとは?

受領委任払いとは、患者さんが整骨院に支払うお金の負担が少ない方法です。

14

患者さんは本来の整骨院に支払うべき金額の1~3割しか負担しません。残りの7~9割は整骨院が保険者に請求します。受領委任払いができることで患者さんの負担が減り、患者さんに選ばれやすい整骨院になります。

◯償還払いとは?

償還払いは、患者さんの支払いの負担がかかる方法です。

15

患者さんは整骨院に施術料金を全額支払います。そのあとに患者さん自身で保険者に7~9割の金額を請求します。償還払いだと患者さんに選ばれにくい整骨院になってしまう可能性があります。

 

もちろん患者さんが整骨院を選ぶ基準が金額が全てでは無いとは思います。しかし自己負担金が高すぎると、後から7~9割の金額が帰ってくるとはいえ、受診するのが億劫になりますよね?そうなると選ばれにくい整骨院になってしまうでしょう。現に、全国にある接骨院・整骨院では償還払いで営業されているところはほとんどないと思います。

そして、患者さんに選ばれやすい整骨院になるための条件でもある受領委任払いができません。

 

◯開業に必要な免許・資格の取得方法

開業に必要な免許・資格は2つです。

 

ー絶対に必要な免許・資格ー

●     柔道整復師の免許

 

ーより良い接骨院・整骨院を経営していくために必要な資格ー

●     柔道整復療養費の受領委任を取扱う施術管理者

 

この2つの取得方法について説明していきます。

◯柔道整復師の免許取得方法

17

3年制の柔道整復師の専門学校・短大を卒業+国家試験合格

または

4年制大学の柔道整復師専攻科を卒業+国家試験合格

現在この2つの方法が、柔道整復師の免許を取得する唯一の方法です。

 

◯”柔道整復療養費の受領委任を取扱う施術管理者”の取得方法

施術管理者になるには条件が2つあります。

ー施術管理者になる条件ー

  1. 1年間の実務経験
  2. 2日間の研修

 

この2つの条件をクリアしないと施術管理者にはなれません。この2つの条件を説明していきます。

1.    1年間の実務経験

実務経験について厚生労働省の説明にはこのように説明されています。

 

1 施術管理者の要件としての実務経験について

「柔道整復師の施術に係る療養費について」(平成 22 年5月 24 日付け保発 0524 第

2号。以下「受領委任通知」という。)別添1別紙及び別添2のそれぞれの第1章5に

規定する「柔道整復師として実務に従事した経験」は、受領委任の取扱いを行うとし

て登録された施術所(以下「登録施術所」という。)において、柔道整復師として実務

に従事した経験(以下「柔道整復師実務経験」という。)であること。

2 施術管理者の要件としての柔道整復師実務経験の期間

施術管理者の要件としての柔道整復師実務経験の期間は、次の事項の全てを満たす

ものとすること。

(1)柔道整復師の資格取得後の期間とすること。

(2)登録施術所の雇用契約期間とすること。

(3)受領委任通知別添1別紙第2章9の受領委任の届け出又は別添2第2章9の

受領委任の申し出に必要となる柔道整復師実務経験の期間は、1年とすること。”

出典元:柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任を取扱う施術管理者の要件について

 

実務経験の要件は3つあります。

①柔道整復師の資格をとった後に働く

②施術管理者がいる登録施術所で働く

③実務経験の期間は1年間

この要件は3つ全てを満たさなければなりません

この中で注意して確認するべき事項は ”②施術管理者がいる登録施術所で働く” ですね。最近は接骨院・整骨院の名前で自費診療をやっている施術所があったりしますので確認が必要です。

 

2.    2日間の研修

施術管理者になるために必要な要件の1つです。2日間で16時間の研修を受けます。

ー研修内容ー

(1)職業倫理について

(2)適切な保険請求

(3)適切な施術所管理

(4)安全な臨床

 

この4つの内容を学びます。

学ぶ目的としては、

近年柔道整復療養費の不正請求が問題になりました。受領委任の取扱いに当たり、何が保険請求の対象かの判断や施術録、支給申請書の記載の仕方など、制度の正しい理解をすることで施術管理者として適切に保険請求を行うとともに質の高い施術を提供できるようにすることを目的としています。

しかし、こちらの施術管理者研修を受けるのは応募で決まるため、かなり激戦。東京都に住んでいる方でも東京都開催の研修に当選することは難しく、吸収や大阪の研修会場までいかなければならないという方もいるようです。

開業を急いでいる方は、早めに確認をしておいた方が良さそうですね。

 

◯そのほかに必要な条件

開業に最低限必要な要件や開業に必要な免許や資格を説明していきました。次は開業するときあるいは、開業した後に必要となってくるものを説明していきます。

開業する前から必要となってくるものは ”開業資金”

開業した後から必要となってくるものは ”スキル”

開業資金

開業資金はまちまちですが、平均して500万円~1000万円するといわれています。

一例ですが、

 

物件費(敷金礼金・初月家賃・仲介手数料など) 約130万円(家賃12万円台の物件)
内装・工事費 約200万円
電療機器やベッド 約150万円
その他備品 約30万円
集客費 約30万円
合計 約540万円

 

物件費は住宅と同じで初期費用がたくさんかかるのは想像つくとは思いますが、内装工事費や電療機器が意外とお金がかかります。

正直、内装・工事費や電療機器やベッドなどの費用は工夫すればもっと安くできると思います。

スキル

柔道整復師として売上を上げていくために最も必要といっても過言ではないのが”スキル”です。スキルと言ったら、施術のスキルを思い浮かべるのではないでしょうか?もちろん施術スキルも重要です。ですが、他にも重要なスキルがあります。

ー柔道整復師として重要なスキル3つー

①施術スキル

②経営スキル

③コミュニケーションスキル

 

①施術スキル

これは誰もが重要だと思うスキルですね。施術スキルの高さによって患者さんのお悩み解決ができるようになりますよね。

施術スキルの高め方ですが、

 

・院内の勉強会や施術練習会

・外部の勉強会や技術セミナーに参加する

・同級生や仲間で勉強会をする

・技術DVDを買って見る

 

これが主流な方法です。1年間の実務経験中に学べると思います。

②経営スキル

どんなに施術スキルがあっても経営スキルがないと院が成り立ちません。

”お金の管理” ”経営理念” ”コンセプト” が院の経営を安定させる秘訣です。

③コミュニケーションスキル

柔道整復師として成功されている方の特徴としてコミュニケーションスキルが高いなあという印象があります。コミュニケーションスキルが高い柔道整復師は、ただ患者さんに面白い話をして笑わせることではありません。患者さんのお悩みを的確に聞き、そのお悩み解決の方法を患者さんが望むやり方と院で提供できるやり方をバランスよくすり合わせて、患者さんが満足いく結果に導くコミュニケーションができるのです。

よくありがちなのが、俺の施術技術は高いから黙って通えば治るよ的な、患者さんの意見を受け入れない柔道整復師と、

患者さんファーストで患者さんの意向を全て受け入れて、施術を受けに来たはずなの安く受けられるリラクゼーション的な場所となってしまう場合があります。

このように両極端にならずに、自分のやり方と患者さんの意向をバランスよくできるのがコミュニケーションスキルの高い柔道整復師の技です。

◯まとめ

・柔道整復師の開業に最低限必要な資格は「柔道整復師の免許」と「開設届」

・開業に必要な柔道整復師の免許の取得方法は、3年制専門学校・短大または4年制大学を卒業+国家試験合格

・開業に必要な施術管理者になるためには、1年間の実務経験+2日間の研修 が必須!

・開業に必要な他のことは、開業資金500万円以上が必要! 施術・経営・コミュニケーション3つのスキルを身につけたほうがいい!

 

これで開業に一歩近づけたのではないでしょうか?この情報をもとに開業準備をすすめてください!