2020/03/20
柔道整復師・開業独立

開業してゴールではない!柔道整復師のよくある失敗例と失敗しないためのコツ

柔道整復師 開業 失敗

柔道整復師の国家試験に無事合格して、柔道整復師という国家試験を取得したら、次に目指すのは独立開業です。

はじめて自分の院を立ち上げる際には、集客や施術、接客など、不安なことはさまざまあるでしょう。

そこで今回は、柔道整復師が開業する際によくある失敗例や、失敗しないためのコツをまとめます。

経験者の失敗例・成功例を事前に把握し、経営を成功に導きましょう。

柔道整復師の独立開業は失敗が多い?廃業率は?

現在、整骨院や接骨院の廃業率が高いことはインターネットやテレビを始めとした各メディアで取り上げられています。実際はどうなのでしょうか?

平成30年に厚生労働省が発表した「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況※1」によると、柔道整復師が開業している整骨院(接骨院)の施術所数は50,077件。また、就業する柔道整復師の数は73,017人となっています。

この数字を見てみると、柔道整復師の約7割が開業していることになり、それだけ競争が激化していることを意味しています。
コンビニの数に近づいている整骨院(接骨院)ですが、廃業率はどうでしょうか?

まず廃業率とは、ある期間において、経営不振や人材不足などの倒産により廃業してしまった企業数の、期間当初の企業数に対する割合を表したものをいいます。
数式では、

廃業率=廃業した企業数の年平均÷期間当初の企業数×100

で計算します。
たとえば、2016年1月から2017年12月の廃業した企業数が200だとして、2016年1月時点での企業数が2000だった場合は、廃業率は5%ということになります。

中小企業庁の「平成30年度(2018年度)の中小企業の動向※2」の業種別開廃業率の分布状況では、技術サービス業の廃業率は約4%とされています。
これは整骨院のみの廃業率ではありませんが、全体的に見るとそこまで高いという印象は受けない方が多いのではないでしょうか?

開業数と廃業率のみで見ると、整骨院や接骨院を取り巻く環境は決して悪いものではないと言えるでしょう。

しかし、どんな事業でも経営方法が悪い場合は、3年で廃業するとされています。廃業しないためにも、独立開業するまでに、しっかりと準備したり戦略練ったりしておく必要があります。

参考サイト

※1厚生労働省|平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
※2中小企業庁|平成30年度(2018年度)の中小企業の動向

柔道整復師の開業でよくある失敗例

sippai_01

柔道整復師が独立開業がする中で、残念ながら失敗してしまった柔道整復師もいます。
独立開業をする前は、誰もが楽しみでワクワクしていると思います。

しかし、独立開業をしてみると、現実を知り失敗してしまう場合があります。
ここでは、独立開業をした後の失敗例をみていきます。

開業することを目標にしている

柔道整復師は、専門学校を卒業して国家試験に合格したら、大半は整骨院(接骨院)や整形外科などのクリニックに就職します。

それから、1~3年以上の実務経験を得て、独立開業権を取得することができます。それまでにさまざまな経験を得て、資金を積み立てていきます。大半の柔道整復師は、自分自身で整骨院(接骨院)を運営できる独立開業を目指しています。

しかし、たまに独立開業を最終目標にしていて、独立開業をしてから先の事をあまり考えていない人がいます。いわゆる、経営計画を立てずに独立開業をしても、必ず失敗してしまいます。どのような経営理念で、どんなビジョンで、どういう集客方法で経営していくかを、しっかり計画を立てて考えておかないといけません。そうでなければ、業績が思うように上がらず廃業してしまいます。

施術技術はあるのに患者が来ない

整骨院(接骨院)や整形外科などのクリニックに勤務したり、各種セミナーや勉強会に参加したりして自分自身の施術技術を上げていき、独立開業する人が多いです。

しかし、施術技術秤を磨いて、いざ独立開業をしても患者が来ないケースがあります。なぜかというと、施術技術はとても良いものを持っているのにも関わらず、集客方法のスキルを全然磨いていなかったのです。いくら良い施術技術を持っていても、まず患者に体感してもらわない限り伝わりません。体感してもらい初めて施術技術を認めてもらい、口コミや紹介により患者が来てくれます。

体感してもらうには、整骨院(接骨院)に足を運んでもらわなければ始まりません。施術技術だけでなく、どのように集客するか、とても大切なのです。

患者は来るのに儲からない

ある程度、集客がうまくできて患者は来るが、儲からない場合があります。その理由は、健康保険だけの施術ばかり行なっていて、患者自身が全額負担する実費メニューをしていないためです。健康保険のみの施術は、たしかに患者の自己負担が少ないですが、その分一人当たりの単価は低くなってしまいます。単価を上げていくには、実費メニューを追加していくのがおすすめです。

スタッフの施術レベルにバラつきがある

開業してから業績が上がり安定してくると、次に考えるのは施術スタッフを入れて、もっと患者を増やしていくこと。

院長1人と受付スタッフ1人の体制だと、どうしても施術する人が足りずに患者を待たせしてしまいます。施術する人が院長一人だと、受付スタッフは電気治療や他の機械治療をして、患者に待ってもらうしかできません。待ち時間が長くなると、いくら施術を気に入ってくれていても、患者は離れていってしまいます。

そこで考えるのが施術スタッフの募集ですが、ここで発生しやすい問題が「スタッフによる施術レベルの差」です。

担当した人によって施術レベルが違いすぎると、患者ごとの満足度の差も当然わかりづらくなってしまいます。規模の拡大と顧客満足度の両立を考えると、アンケートによる患者の満足度調査や、教育の徹底をする必要があります。

柔道整復師の独立開業で失敗しないための3つのポイント

sippai_02

どうすれば独立開業しても失敗せずに、利益を上げることができるのでしょうか?

それは上記のような失敗例を参考に、失敗しないための対策する必要があります。失敗例をみていると、起こりうる問題の大半は「経営に対する準備や勉強不足」とも言えます。

柔道整復師は、どうしても施術の勉強や技術向上に力を入れてしまいます。ですが、整骨院(接骨院)も営利事業であり、利益を求めなければなりません。ここでは、柔道整復師が独立開業するにあたって失敗しないポイントを3つ紹介していきます。

経営理念を明確にする

経営理念とは、言い換えると「院(会社)としての思想・理想」です。

意外にも、経営理念があまり明確化されていない整骨院(接骨院)が多いです。逆に考えれば、経営理念を具体的に設定していれば、他の整骨院(接骨院)と差ができるということです。経営理念をしっかり設定しているということは、経営に対して明確な軸を持ち、それに基づいて運営を行いやすいということでもあります。ただ患者が来るだけでは、利益は出ません。業績を上げていくには、さまざまな経営の工夫が必要です。

そして、経営理念があることによって、院長のモチベーションが高くなり、さらに周りのスタッフもモチベーションが向上して、整骨院(接骨院)全体がが一体化してチームワークが生まれます。

このように経営理念を具体的に設定することは、経営を始める第一歩として、とても重要なポイントなのです。一つ例を挙げてみましょう。
ドラッグストアや調剤薬局を全国展開している大企業の「ココカラファイン」の経営理念は、「人々のココロとカラダの健康を追求し、地域社会に貢献する」というものです。

分かりやすく、企業の方向性に沿った経営理念ですよね。
このような、自分の整骨院(接骨院)に合った経営理念にしなければ、浸透せずに意味が無くなってしまいます。シンプルで方針がしっかりした経営理念を作りましょう。

利益が出る施術内容の設定

では、どうすれば利益が出る仕組みを作ることができるのでしょうか?それは、施術時間に対する一人当たりの単価のバランスです。このバランスが悪いと、しっかりと利益を出すことはできません。

たとえば、施術時間が長すぎる場合で考えてみましょう。

特に多いパターンは、健康保険の自己負担金のみで施術しているのにも関わらず、必要以上に施術時間を長くしすぎている場合です。

患者側から考えると、自己負担金が少なく、しかも長く施術してくれるので、当たり前ですが満足度は高いです。しかし、整骨院側から考えると、単価が低いうえに施術時間が長いため、その間は手を取られてしまい、1日に施術できる人数が少なくなるので、なかなか数がこなせず、利益が上がりません。

さらに一人当たりの施術時間が長いので、来院患者が重なって混雑したときは、大幅にお待たせしてしまい、患者の減少に繋がります。
適性の範囲で施術を行ない、それでも満足がいかない患者には、プラス料金で実費メニューをおすすめして、納得してもらったうえで単価アップをしていきます。そうすることにより、施術時間と単価のバランスが整い、利益が出る仕組みができます。

集客方法のリサーチ・見直し

独立開業、どんなサービス業を始めるにも集客方法は大切です。

失敗する人の多くは、開業してから集客を始めます。それではもう遅すぎます。集客は、開業する前から始めることが重要なポイントです。なぜ、開業前から集客する必要があるのかといいますと、街の人はテナントや土地が空いていれば「次は何ができるのだろう?」と考え興味を持ちます。

そして整骨院(接骨院)ができると知れば、開業する前から患者の獲得に繋がります。また、知った人たちは、近所の人にも話してさらに周知してもらえます。

方法としては、まず開業する前からビラを作成して、近隣に配布します。そのビラにオープン日と"プレオープン日"を必ず記載しておきます。整骨院(接骨院)の工事が進んできたら、そこにもポスターを貼っておきます。そして、プレオープンして体験施術を行ないます。プレオープンすることで、患者はどんな先生なのか、どんな施術をしてくれるのかなど知ることで、オープン時に来てくれやすくなります。

また最近では、ホームページだけでなく、フェイスブックやインスタグラム などのSNSも集客する方法として効果的です。開業した後は、近隣にビラの配布やホームページの更新、SNSの更新していきましょう。これらの方法は、継続して集客する上で、とても大切です。

柔道整復師として独立開業することは厳しい?今後の業界の動向は?

sippai_03

上記の通り、現在も整骨院(接骨院)は増え続けており、都市部では飽和状態となっています。しかし、最近では整骨院(接骨院)の増加が横ばいになってきています。その理由は、整骨院(接骨院)の開院数と閉院数が同じになってきているからです。つまり、新しく開業する整骨院(接骨院)があれば、患者が来ずに経営が厳しくなり潰れてしまう整骨院(接骨院)が同じくらいあるということです。整骨院(接骨院)は、だいだい1日40人ぐらいは患者に来てもらわなければ、あまり利益が出ません。その患者を取り合うことになっていますので、厳しくなっています。しかし、飲食店や販売店を開業するよりも、整骨院(接骨院)を開業する方が、まだまだ生き残れる確率は高いです。正しい方法で、熱意のある施術を行なっていれば、おのずと患者は来てくれます。高齢化社会や医療費の増加により、医療費ではなく療養費を使う整骨院(接骨院)の方が、費用が低いので需要が高まってきています。また、介護保険料の増加もあり、介護予防の助けとなる柔道整復師は期待されています。

まとめ

独立開業、整骨院(接骨院)業界は厳しくなっていますが、まだまだ独立開業して儲けていく可能性はあります。そのためには、しっかりと医学や経営学の勉強をして、健康保険がなくなってしまったとしても経営していけるノウハウを身につける必要があります。柔道整復師の仕事は、人の悩みを改善し感謝される、素晴らしい職業です。
今回の紹介で、少しでも柔道整復師の独立開業にお役に立てれば幸いです。